国会に提出されていた「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」は、2025年5月8日に衆議院本会議にて、可決・成立しました(法律案の通り成立)。
改正法では、多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、職場のメンタルヘルス対策の推進、高年齢労働者の労働災害防止の推進の措置等を内容としています。注目されている労働者数50人未満の事業場についてのストレスチェック実施の義務化についての内容も含んでいます(施行日は公布後3年以内に政令で定める日)。

【改正法の概要】

〔1〕 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進(労働安全衛生法)

・既存の労働災害防止対策に、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため、個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。...等

〔2〕職場のメンタルヘルス対策の推進(労働安全衛生法)

・ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。

〔3〕化学物質による健康障害防止対策等の推進(労働安全衛生法、作業環境測定法)

・化学物質の譲渡等実施者による危険性・有害性情報の通知義務違反に罰則を設ける。
・個人ばく露測定について、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図る。...等

〔4〕機械等による労働災害の防止の促進等(労働安全衛生法)

・ボイラー、クレーン等に係る製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲を拡大する。...等

〔5〕高齢者の労働災害防止の推進(労働安全衛生法)

・高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施を事業者の努力義務とし、国が当該措置に関する指針を公表することとする。

施行期日は、一部を除き、2026(令和8)年4月1日です。法案の成立を受けて、今後、労働政策審議会安全衛生分科会では、労働安全衛生法の政省令の改正に向けた議論等が行わる予定です。

詳細は下記をご参照ください。

・(pdf)労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要(※案の通り成立)
https://www.mhlw.go.jp/content/001449334.pdf

・(ご参考)連合|労働安全衛生法等改正法の成立に対する談話(事務局長談話)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1348