社会保障審議会年金部会では、これまで次期年金制度改革に向けた具体的な見直しの方向性について議論が重ねられてきましたが、この度厚生労働省より「社会保障審議会年金部会における議論の整理」が公表されました(12月25日公表)。次期年金制度改革の具体的内容等について、下記のような方向性が示されています。

  • 短時間労働者への被用者保険の適用について、企業規模要件(従業員51人以上)および賃金要件(いわゆる106万円の壁)を撤廃する方向で概ね意見が一致した。その際、被保険者となる方の手取りが減らないようその保険料について事業主負担の割合を増加させることを認める仕組み(就業調整に対応した保険料負担割合を変更できる特例)を導入することについては、意見が一致せず、今後検討を深めることにった(資料12~13、19頁)。
  • 常時5人以上の従業員を使用する個人事業所における非適用業種については、労働者の勤め先等に中立的な制度を構築する観点等から、解消する方向で概ね意見が一致した(同14頁)。
  • 国民年金の第3号被保険者制度をめぐる論点については、国民的な議論の場が必要であると認識した。今後政府に対して、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討する(同22頁)。
  • 在職老齢年金については、高齢者の活躍を後押しし、働き方に中立的な仕組みとする観点等から、現行の在職老齢年金制度を見直すことで概ね意見は一致した。具体的に基準額を引き上げるのか、廃止するのかについては引き続き検討を行う必要がある(同25頁)。
  • 厚生年金保険の標準報酬月額の上限(現行65万円)について、今後、賃上げが継続すると見込まれる状況において、負担能力に応じた負担を求める観点や将来の給付水準全体にプラスの効果をもたらす所得再分配機能の強化の観点から、現行の標準報酬上限額の改定のルールを見直して新たな等級を追加することについて、概ね意見が一致した(同27頁)

そのほか、「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」「高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等」「年金制度における子に係る加算等」の方向性も示されています。

詳細は下記をご参照ください。

社会保障審議会年金部会における議論の整理|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20241225.html