~妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いによる事例追加~
職場における総合的なハラスメント対策のポータルサイト「あかるい職場応援団」から、「裁判例を見てみよう」のコーナーにて、事例が1件追加されました(7月17日公表)。
「裁判例を見てみよう」では、実際に扱われた裁判について、主にハラスメントを中心として、その特徴ごとに全部で19の切り口から裁判例を分類して掲載しています。
今回追加されたのは、「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い」での事例です( 「妊娠中の軽易業務への転換を契機として労働者を副主任から降格させた事業主の措置につき均等法9条3項違反の該当性が争われた事例(第76回) 」)。
この事例は、労働者の申出により妊娠中に軽易業務へ転換する際に副主任を免じた(降格させた)という事業主の措置が、下記 ①② を認めることができない以上、均等法9条3項が禁止する「妊娠、出産、産前休業の請求、産前・産後の休業又は軽易業務への転換等を理由とした解雇その他の不利益取扱いに当たると解される」として、最高裁が原判決を破棄し、原審に差戻したという内容です。
① 労働者が自由な意思に基づいて当該措置を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在すること
② 当該措置が均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情があること
労働基準法65条3項に基づく妊娠中の労働者の申出による軽易業務への転換にあたり、軽易業務の内容によっては当該労働者を降格せざるを得ない、といった事態は起こり得ますが、実際に降格させるという場合は、慎重な対応が必要であることを示した事例です。