最高裁判所は、地方公共団体が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していた職員が、運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分に伴って受けた、退職金の不支給を適法と判断しました(懲戒免職処分取消等請求事件)。

原審では、当職員の、本件着服行為による被害金額は1,000円にとどまること等から、退職手当の支給制限処分は酷に過ぎ、社会観念上著しく妥当性を欠くとして違法としました。
しかし、最高裁判所は、本件着服行為は、「公務の遂行中に職務上取り扱う公金を着服したというものであって、それ自体、重大な非違行為である」「自動車運送事業の運営の適正を害するのみならず、同事業に対する信頼を大きく損なうもの」としています。そして当運転手は乗務の際に、1週間に5回も電子たばこを使用したことからも「勤務の状況が良好でないことを示す事情として評価されてもやむを得ないもの」とし、社会観念上著しく妥当を欠くということはできないとして、退職金の不支給を適法としています。

このような退職手当支給制限処分に関しては、企業においては就業規則等で定める内容にかかわってくることからも、企業にとっても参考になる裁判例です。

詳細は下記をご参照ください。

・裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94011