新年あけましておめでとうございます。
まだまだコロナ感染が落ち着かない中、2023年を迎えました。人事労務関連では、今年は大きな
法改正はないものの、法改正に留まらず、様々な情報を配信して参ります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

労働政策審議会労働条件分科会より、2022年12月27日、今後の労働契約法制及び労働時間法制の在
り方について、検討結果が取りまとめられ、公表されました。
同分科会では、2022年5月27日以後9回にわたり、「無期転換ルールに関する見直しと多様な正社員
の雇用ルールの明確化等」について、また2022年8月30日以後9回にわたり「今後の労働時間法制の
在り方に関して」の検討を行い、精力的に議論が深められてきましたが、一定の結論に達したという
ことで、それらがまとめられました。以下のような検討結果が報告されています。

労働契約法制について
1 無期転換ルールについて
〇制度の活用状況を踏まえると、無期転換ルールの導入目的である有期契約労働者の雇用の安定に一定
の効果が見られるものの、制度が適切に活用されるよう必要な取り組みを更に進めることが適当である。
また無期転換ルールの趣旨や内容、活用事例について、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。
〇無期転換後の労働条件として、正社員への転換をはじめとするキャリアアップの支援に一層取り組む
ことが適当である。
2 労働契約関係の明確化について
〇多様な正社員に限らず労働者全般について、労働基準法の労働条件明示事項に就業場所・業務の変更
の範囲を追加することや、労働基準法の労働条件明示のタイミングに、労働条件の変更時の追加を引き
続き検討することが適当である。
〇就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等、就業規則を必要なときに容易に確認できる
ようにする必要があることを明らかにすることが適当である。
〇短時間正社員については、正社員としての実態を伴っていない場合にはパート・有期労働法の適用が
あり、均衡・均等待遇が求められること、同法が適用されないそれ以外の多様な正社員においても、
労働契約法第3条第2項による配慮が求められることを周知することが適当である。
3 労使コミュニケーションについて
〇労使コミュニケーションに当たっての留意点や、適切に労使コミュニケーションを図りながら、無期
転換や多様な正社員等について制度の設計や運用を行った各企業の取組事例を把握して周知することが
適当である。

労働時間法制について
1 裁量労働制について
〇企画業務型裁量労働制や専門業務型裁量労働制の現行の対象業務の明確化、また、労働者が理解・納得
した上での制度の適用と裁量の確保を行うことが適当である。
2 年次有給休暇について
〇2025年年までに「年次有給休暇の取得率を70%以上とする」という政府の目標を踏まえ、年次有給休
暇の取得率の向上に向け、好事例の収集・普及等の一層の取組を検討することが適当である。
3 今後の労働時間制度についての検討
〇働き方改革関連法で導入又は改正された、時間外労働の上限規制、フレックスタイム制、高度プロフェ
ッショナル制度、年次有給休暇制度等は、同法の施行5年後に、施行状況等を踏まえて検討を加え、今後、
施行状況等を把握した上で、検討を加えることが適当である。
〇その際には、働く方の健康確保という原初的使命を念頭に置きながら、経済社会の変化や働き方の多様
化等を踏まえ、働き方やキャリアに関する労働者のニーズを把握した上で、労働時間制度の在り方の検証
や検討を行うことが適当である。

詳しくは、以下をご参照ください。
労働政策審議会労働条件分科会報告「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」を公表します|厚生労働省 (mhlw.go.jp)