現在給与は労働基準法第24条において、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を
定めて支払わなければならないと規定され、また銀行口座への振込は、個々の従業員の同意を得て、従業員
が指定する本人名義の預金または貯金の口座へ振り込まれること、振り込まれた給与の全額が所定の給与支
払い日に引き出し得ることを満たせば可能とされています。

 今回、労働基準法施行規則の一部を改正する省令が公布(施行は2023年4月1日)され、2023年4月から
給与のデジタル払いとして、資金移動業者の口座へ給与の支払うことも可能となりました。企業に
デジタル払いを強制するものではありませんが、支払方法としての選択肢が広がることになります。
ただし、この場合において利用できる資金移動業者は、厚生労働大臣の指定を受けたものに限ること、
また給与をデジタル払いするときには、従業員に同意を得る必要があります。同意を得るときには、資金
移動業者が以下の要件に沿っているものであることを説明する必要があるとしています。
〔労働基準法施行規則 新設第7条の2 第3号ご参照〕

(1) 賃金の支払に係る資金移動を行う口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の
   額が100万円を超えることがないようにするための措置又は当該額が100万円を超えた場合に当
   該額を速やかに100万円以下とするための措置を講じていること。
(2) 破産手続開始の申立てを行ったときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となったとき
   に、口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に
   弁済することを保証する仕組みを有していること。
(3) 口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができ
   ない理由で当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となったこと
   により当該債務について当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有してい
   ること。
(4) 口座について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも
   10年間は、労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を
   講じていること。
(5) 口座への資金移動が1円単位でできるための措置を講じていること。
(6) 口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による
   受取ができる方法により1円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月1回は当該
   方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受取ができるための措置を講じている
   こと。

詳しくは、以下をご参照ください。
・〈労働基準法施行規則の一部を改正する省令(2022年11月28日厚生労働省令第158号)〉
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H221128K0010.pdf
・〈全体HP〉
https://www.mhlw.go.jp/hourei/new/hourei/new.html